今日は中学受験における偏差値について述べたいと思います。
偏差値って?
ご存知の方も多いとは思いますが、そもそも偏差値って何でしょう?
偏差値とは、「母集団の中で自分がどれくらいの位置にいるか」をはかるものです。
平均を50とし、それより大きい数字なら全体の50%以上に位置し、小さい数字なら50%以下に位置していることになります。
母集団が何か?それによって偏差値の精度も変わってくるのが、大きなポイントだと思います。
偏差値の精度について
中学受験は私立受験の人数割合が多いのですが、私立は共通問題はなく、各学校特色ある問題が出題されます。
ですので、本当に一番精緻なのは、その学校を受ける子全員を母集団にしたテストでの偏差値になりますが、そんな模試はありませんので、6年生の秋から各塾ごとに実施する学校別模試が一番近いかもしれません。
それぞれの模試の内容や開催している塾によって、母集団も異なりますので偏差値の見方もそれぞれ変える必要がでてくるのです。
塾によって異なる学校の偏差値
各学校の偏差値は、各塾のこれまでの模試の統計から大手塾それぞれに算出しているものになります。
模試は、大手塾中心に実施され、その塾の内部生が占める割合が大きいものになります。ですので、その塾に通っている子がどのあたりの学校を目指しているかによっても各中学校の偏差値も違います。
例えば、中堅校を受ける子が多い塾では、そのボリュームゾーンの子の平均が平均値に近くなります。そのため、難関校に合格する確率が高い子は、かなり高い偏差値(平均値を大きく上回った点数)である必要があります。
一方で、難関校を目指す子が多い塾では、そもそもみんなが難関校を目指しているので平均を大きく上回ることは難しく、偏差値はそこまで高くはなりません。
特にSAPIXは、サピ偏とも言われ、他塾よりも5〜10くらい低くでるのが当たり前です。
例えば、2/1のみ入試がある学校で比べてみると、2020年入試の偏差値は以下のようになっており、早大実業などは、サピックスと首都圏模試で、「18」も偏差値が異なることが分かります。
サピ | 四谷 80% | 日能研 R4 | 市進 | 首都圏 | ||
開成 | 男 | 67 | 71 | 72 | 73 | 78 |
麻布 | 男 | 62 | 68 | 67 | 69 | 76 |
武蔵 | 男 | 58 | 64 | 65 | 67 | 73 |
駒東 | 男 | 58 | 64 | 63 | 68 | 74 |
桜蔭 | 女 | 62 | 70 | 68 | 71 | 77 |
女子学院 | 女 | 61 | 70 | 67 | 70 | 76 |
雙葉 | 女 | 58 | 68 | 65 | 68 | 73 |
フェリス | 女 | 56 | 65 | 62 | 66 | 73 |
早大学院※ | 共 | 56 | 63 | 61 | 66 | 71 |
早大実業※ | 共 | 55 | 63 | 66 | 66 | 73 |
慶応普通※ | 共 | 58 | 64 | 65 | 67 | 74 |
いろんな模試を受けた方がいいのか?
正直あまりおすすめはしません。
我が家は一度、早稲アカのNN志望校別オープン模試を受けたことがありますが、それ以外は受けたことはありません。
6年生になると、土日も塾になりますので、他塾の模試を受けるためには塾の授業を休む必要が出てきます。子供が自信喪失していて、難易度の低い模試を受けて自信をつけさせるなどは有効かもしれませんが、軽い気持ちで受けるくらいなら、塾の授業に出席した方が絶対いいと思います。
また、いくつもの違う母集団での模試を受けてその結果を比較するより、同じような母集団の中で、自分の位置の変化をみたほうがいいとも思います。
(結局、受験は自分との勝負ですからね)
特に早い時期(5年生や6年生の初めの頃)の模試では、塾によってカリキュラムの進度が異なるため、習ってない単元の問題がでることもありますので、逆効果になることも十分考えられます。
同じ学校でも受験日によって異なる偏差値
また、同じ学校、同じ塾でも受験日によっても偏差値は異なります。
それも母集団の違いによるものです。
2/1は、本命校を受験する人が多いのですが、その他の日程は、滑り止めで受験する人が多く、難関校を目指している子たちも持ち偏以下の学校を受験します。そのため、2回目以降は、その学校の偏差値が高くなる傾向にあります。
複数回入試を実施している学校のサピックス偏差値(2020年入試)が以下です。
ほとんどの学校の偏差値が回を重ねるごとに上がっているのがわかると思います。
1回 | 2回 | 3回 | ||
本郷 | 男 | 49 | 56 | 57 |
桐朋 | 男 | 47 | 55 | |
城北 | 男 | 44 | 49 | 52 |
洗足 | 女 | 54 | 57 | 56 |
吉祥女子 | 女 | 52 | 56 | 57 |
鴎友 | 女 | 49 | 57 | |
渋谷渋谷※ | 共 | 57 | 63 | 64 |
広尾学園※ | 共 | 55 | 59 | 57 |
多様化する中学入試
中学入試では、2教科や1教科、私立でも適正試験型もあります。最近では、多様化が進んでおり、英語入試やプレゼン入試なんていうのもあります。
これらのように模試の偏差値では測ることが難しい入試形態もあります。
中学受験においては、偏差値50は本当はすごいこと
中学受験勉強をしてる小学生が母集団ですので偏差値が50だからうちの子は賢くないんじゃないかと落ち込む必要はありません。むしろ小学生の中では賢い部類に含まれるのです。
東京都では5人に1人が中学受験すると言われていますが、高校受験や大学受験とは違い中学受験生は少数精鋭な集団なのです。
その中学受験をする勉強をしている子の中での平均なわけですから、誇りに思っていい数字だと思います。
最後に
偏差値は、受験生の子を持つ親なら気にせずにはいられないですよね。
我が子は待ち偏は、最後まで志望校には届かず最後の模試でも50%でしたが、第一志望に合格しました。また、持ち偏以下の学校でも不合格だったところもあります。
偏差値は一つの目安として活用するのには非常に有効だと思いますし、あまりに自分の偏差値と掛け離れた学校は難しいですが、偏差値が届かなくても絶対無理ではありません。
模試の結果からどういった位置づけの偏差値なのかをきちんと理解し、一喜一憂はしてしまうと思いますが、早く切り替えてどう改善していくか前向きにとらえて対策してすることが大事だと思います。
また、最後の模試が12月ですが、小学生はそこから2月までにまだ伸びます。
もしかしたら入試問題が得意な分野から出るかもしれません。
偏差値だけに左右されずに最後まであきらめないことが、合格につながる気がします。